訪問歯科で“最低限守るべき安全基準”

歯科経営理論

【現場トラブルをゼロにするための必須チェックポイント】

■ 結論

訪問歯科は“生活の場”で医療を行うため、
安全の基準が外来よりも広く、深く、複雑。

しかし、最低限の安全基準を整えておくだけで
トラブルはほぼゼロにできる。

この記事では、
訪問歯科で必ず守るべき安全基準を
“誰でも実行できる形”でまとめた。


■ ① 訪問前の“情報確認”を徹底する

安全の第一歩は 事前情報の把握

最低限確認すべき情報:

  • 基礎疾患
  • 服薬状況
  • 嚥下状態
  • 意識レベル
  • 食形態(ミキサー・刻み・普通)
  • ADL
  • 感染症の有無
  • 義歯の使用状況

この情報を知らないまま訪問するのは危険。


■ ② 患者の“座位・姿勢”を毎回チェック

姿勢が悪いと
誤嚥リスクが一気に上がる。

最低限守るべき姿勢:

  • 頭部は前傾10〜15度
  • 足裏が床につく
  • ベッドの場合は45〜60度のギャッジアップ
  • 口腔内が見える高さ

姿勢が整えば、安全性は大幅に上がる。


■ ③ 嚥下リスクを“3つの視点”で判定

嚥下トラブルは訪問歯科で最も危険。

最低限チェックするのはこの3つ:

  1. 咳き込みがあるか
  2. 痰が多くないか
  3. 食事中のむせがないか

この3つに異常があれば、
嚥下評価の介入が必要。


■ ④ 口腔ケアは“粘膜損傷ゼロ”が絶対基準

外来より粘膜が脆い患者が多い。

最低限の基準:

  • 舌・頬側・歯肉に力を入れすぎない
  • 保湿を必ず行う
  • スポンジブラシの強圧を避ける
  • 吸引を丁寧に

粘膜損傷はすべてのトラブルの原因になる。


■ ⑤ 物品管理は“置く位置を固定”

紛失・汚染・事故を防ぐため、
最低限必要なのは 位置の固定化

例:

  • グローブ → 左のポケット
  • バキューム → バッグの右側
  • ロールガーゼ → 上段左
  • 準備物は玄関前で最終確認

決めた位置から動かさないのが鉄則。


■ ⑥ 施設内の動きは“静かに・丁寧に”

訪問歯科の安全は
雰囲気の良さ が守る。

  • 扉の開閉は静かに
  • 荷物を置く音を小さく
  • 廊下で職員や利用者を優先
  • 車椅子の移動を妨げない

施設は“生活の場”。
医療者こそ最も丁寧に振る舞うべき。


■ ⑦ チーム内の情報は“1つに統一”

情報のズレは安全を脅かす。

最低限のルール:

  • 情報は必ず1つの媒体(LINE WORKSなど)
  • DR・DH・ドライバー全員が同じ情報を見る
  • 朝礼で最終確認
  • 訪問後は簡潔に振り返り

情報共有は安全の基盤。


■ ⑧ トラブルが起きたら“初動の速さ”が命

安全な医院は、
トラブルが起きても早く沈静化できる。

初動の鉄則:

  1. 施設にすぐ連絡
  2. DR・家族へ共有
  3. 状況を簡潔に整理
  4. 再発防止策を提示
  5. 院長が前に出て説明

“早い・丁寧・矢面”
この3つがあれば大事故にはならない。


■ まとめ

訪問歯科の安全は
“知識 × 仕組み × 態度”で守られる。


🔵 ① 訪問前の情報確認

🔵 ② 姿勢の評価

🔵 ③ 嚥下リスクの判定

🔵 ④ 粘膜損傷ゼロ

🔵 ⑤ 物品の位置固定

🔵 ⑥ 施設内の丁寧な動き

🔵 ⑦ 情報の一元化

🔵 ⑧ トラブル初動の速さ


訪問歯科は、
“安全をデザインする医療”

安全基準が整った医院は
継続率・信頼・紹介すべてが強くなる。

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