結論(この記事の要点)
訪問歯科の世界では、
「本当はいらない設備」 が驚くほど高額で売られています。
・200万円セット
・30万の携帯用ユニット
・無駄に豪華な訪問バッグ
・“訪問専用”のよくわからない器具
これらの多くは
材料屋・代理店が利益を大きく乗せて売っている構造で、
実務を理解していない歯科医師が“良かれと思って”買ってしまう。
結論として、
訪問歯科で本当に必要な設備は想像の半分でOK。
そして不要なものを買うほど、医院経営は重くなる。
このテーマの前提知識
材料屋の人間が悪いわけではない。
仕組みがそうなっているだけ。
▼ 材料屋が訪問歯科医院に売りたい理由
- 外来は価格競争が激しい(利幅が取りにくい)
- 訪問は未経験の院長が多く“買いやすい”
- 新規開業は予算が大きい
- 高額商品の紹介で利益が大きい
つまり、
「訪問歯科=勧めれば売れやすい」市場なのです。
具体的な分析(必要・不要を断言する)
ここでは、訪問歯科で実際に必要なものを “真実ベース” で書く。
■ 必要なもの(最低限・安価でOK)
以下の5つがあれば普通の訪問は成立する。
- ポータブルユニット(10〜15万レベルで十分)
高額な30〜50万のモデルの多くは“機能過剰”。 - 吸引器(静音タイプ)
約3〜6万円。
→ むしろ吸引の方が大事。 - 口腔ケアセット
・スポンジ
・歯ブラシ
・洗口液
全部安価でOK。 - 携帯ドリル(約1〜2万円)
“訪問用”と名乗る高額モデルは不要。 - 訪問バッグ(1万円以下で十分)
“訪問専用バッグ5万円”は完全に贅沢品。
■ 不要なもの(買うと損する類)
以下は“買う必要がほぼない”と断言する。
- 200万円の訪問歯科フルセット
→ 業者の利益が大半。
→ 実際に使うのは中の2割。 - 高額滅菌器(訪問専用モデル)
→ そもそも医院で滅菌すればOK。 - 10〜20万の訪問専用ライト
→ 5千〜1万円のLEDで十分。 - 訪問専用ユニットチェア
→ 介護施設の椅子を使える。
よくある誤解・落とし穴
❌ 誤解1:「良い道具=効率が上がる」
→ これは外来の感覚。
→ 訪問は “使う場所が毎回違う” ため、高額設備のメリットが小さい。
❌ 誤解2:「営業マンが勧めるものは正解」
→ 目的が違う。
→ 営業マンは“売ること”。あなたは“経営を守ること”。
❌ 誤解3:「訪問歯科=特別な設備が必要」
→ 実際は違う。
→ 訪問は “軽量・シンプル・壊れない” が正義。
実際にどう動くべきか?(3ステップ)
STEP1:必要・不要リストを自分で明確化する
この記事の「必要5つ・不要4つ」を自院基準に落とし込む。
STEP2:購入前に“現場での使用頻度”を必ずイメージする
→ 1日に本当に何回使う?
→ それ高額の意味ある?
→ 安い代替品で困らない?
STEP3:スタッフが扱いやすいかで判断する
訪問は“スタッフの扱いやすさ”が効率の9割。
軽い・壊れにくい・簡単。
これが正解。
まとめ(行動につながる)
訪問歯科は、
外来のように“道具で勝つ”世界ではありません。
ポイントはただ1つ:
高額設備は、あなたの医院ではなく「売った相手」を豊かにする。
訪問の本質は
- 人
- 動線
- 継続
この3つ。
必要最低限の装備でスタートして、
現場で「必要だ」と感じたものだけ買えばいい。
騙されないために必要なのは、
“その設備、月に何回使う?”
という冷静な視点だけです。


コメント