結論(この記事の要点)
訪問歯科の売上と利益を最大化する最大のポイントは、
「移動時間を減らすこと」ではない。
本質は
“ルートの構造そのものを最適化し、1日の診療密度を最大化すること”
にある。
つまり
- 行き先の組み方
- クラスター(施設の集まり方)
- スタッフ動線
この3つを最適化すると、
同じ1日でも診る人数が1.5~2倍以上になる。
このテーマの前提知識
訪問歯科の収益は
**“診療数 × 利益率”**で決まる。
訪問歯科の利益率は外来より高いが、
唯一の欠点は 移動時間のロス。
しかし、ほとんどの医院は
「移動時間を減らそう」
という表面だけの改善に走る。
本当に改善すべきは
ルートの“構造”と“配置の仕方”。
ここが理解できている医院は
1日5名 → 1日9名へ
1日8名 → 1日12名へ
と劇的に伸びる。
具体的な分析(何を最適化すべきか?)
訪問歯科のルート最適化は、
以下の3つの変数で決まる。
① 行き先の“クラスター化”が全て
最も重要なのは
「1つの地域(または施設)に患者が固まっているか」
という一点。
例:
- A市のデイサービス → 同じ建物で4名
- 近隣のグループホーム → 徒歩1〜2分
- その横の団地 → 2名
こうした“クラスター設計”ができると
移動時間は30分減るだけでなく
“1日あたり診療人数が2〜4名増える”。
訪問歯科は
移動時間より“まとめ方”の方が収益に影響する
というのはここ。
② 訪問先の“密度”を上げると利益率が跳ねる
訪問先の密度が高くなると、
“診療密度”が増す。
診療密度とは
「1時間につき何人診療できるか」
という概念。
密度が高くなると…
- スタッフの移動負担が減る
- 訪問先との連携がスムーズ
- 処置内容の予測が立てやすい
- インシデントが減る
結果的に
1日の疲労度が減るのに、売上が増える
という理想的な構造になる。
③ スタッフの“動線設計”が効率を決める
訪問歯科は
- ドクター
- DH
- ドライバー
この3人の動きが1本の線。
だから、
1人のペースが乱れると
1日全体が崩れる。
動線で見るべきは3つ:
- 荷物が多すぎないか?
荷物が多いと準備・片付けで遅れる。 - 移動の順番が最適か?
遠回りルートは最悪。 - 施設との関係性が良いか?
連携が良い施設は“診療スピード”が上がる。
動線の最適化は
移動距離ではなく“動作の少なさ”が本質。
よくある誤解・落とし穴
❌ 誤解1:「移動時間をゼロにすればいい」
→ どんなに頑張っても移動は必要。
→ むしろ“近いけど患者1人しかいない”のが一番効率悪い。
❌ 誤解2:「エリアを広げれば患者は増える」
→ 広げると効率が落ちる。
→ 訪問は“狭く深く”の方が強い。
❌ 誤解3:「訪問はどのルートでも同じ」
→ ルート設計で売上は2倍違う。
→ 外来より設計の差が出やすい領域。
❌ 誤解4:「とりあえず1日回せればOK」
→ 1日の“密度”が収益に直結する。
実際にどう動くべきか?(行動ステップ3つ)
STEP1:今の訪問ルートを“地図に可視化”する
Googleマップで
- 自院
- 訪問先
- 患者宅
をプロットする。
これだけで
“クラスターが弱い場所”が一目でわかる。
STEP2:訪問先を“クラスター単位”で整理する
例:
- 月曜:A市 デイサービス+団地クラスター
- 火曜:B市 グルホ密集エリア
- 木曜:C町 田園地帯+一軒家集約
曜日ごとにテーマを持たせると
1日の密度が自然に上がる。
STEP3:新規の訪問依頼を“ランク分け”する
優先して受けるのは
- 既存ルートから3分以内の場所
- 同じ建物
- 施設からの紹介
逆に
- 既存ルートから外れた遠方
- クラスターがない単発
これは原則断ってOK(効率が落ちるため)
まとめ(行動につながる)
訪問歯科のルート最適化は
移動を減らすためではなく
診療密度を最大化するための設計。
見るべきは
- ① クラスター化
- ② 訪問先の密度
- ③ スタッフの動線
この3つを整えると、
“同じ時間で診療数が1.5〜2倍”になる。
訪問歯科は
設計が9割、技術は1割。
ルートの最適化は“経営の勝利条件”そのものだ。


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